仙台が22日、今季リーグ戦全日程を終えた。年間総合の順位は2年連続の14位で、ギリギリJ1残留を果たした。低調だった今季の戦いぶりが、本紙担当記者の目にはどう映ったのか? 分析してみた。

 昨季から大きくメンバーを入れ替えた「新生ベガルタ」最初のシーズンは、健闘と苦戦の両方を経験した1年だった。第1S7位の成績が物語るように、新戦力が台頭し今までにない仙台の攻撃スタイルを示した。特にレンタル移籍から復帰したMF奥埜は前線のレギュラーに定着。ボールをキープし起点となり、決定力を発揮した。昨季ウイルソンの陰に隠れたFWハモンもようやくチームに慣れ、武器のミドルを積極的に放ち局面を打開した。浦和から4点、鳥栖から5点を挙げた試合に表れるように、歯車がかみ合えば大量得点も可能なチームとなった。

 開幕5戦負けなしも、直後に5連敗する浮き沈みの激しいスタートで、夏場の補強もなく迎えた後半戦は、攻撃力が影を潜め勝ち切れなくなった。終盤戦になる頃には「5バック」やセンターバックの鎌田をボランチで起用するなど、チームとして未知数の戦術を試すも不発で、結局は昨年同様に残留も危ぶまれる位置まで落ち込んでいた。

 対戦する相手チームからは「怖くない」「やりやすい」「焦っている感じしかしない」などの声も。リーグ関係者からは「選手の質は悪くないが、蹴る止めるという1つの動きだけでも精度が低い」との指摘もあった。今季、非公開で行われることの多かった紅白戦ではサブ組(Bチーム)が勝ることも多々あったと聞く。Aチームは次戦へ向けたテストの意味合いがあることも含め、紅白戦で体を削って勝ちに行く必要はないのかもしれない。ただ自チームのサブ組に勝てず、敵に勝てるとは思えない。レギュラーの選手らが持つ能力を発揮できていないようにも見えた。

 2年後、仙台をVパレードする夢実現のためにも、来季はその土台をしっかり固める年と、強く認識して立ち向かって欲しい。【成田光季】