J2札幌が強力なパートナーとタッグを組み、一気に経営強化を図る。大手広告代理店博報堂のグループ企業でメディア部門を取り扱う博報堂DYメディアパートナーズ(博報堂DYMP)とビジネス戦略パートナー契約を結ぶことが15日、分かった。22年までの7年契約で、月内にも本契約を結ぶ。16、17年は推定で年2億円のサポートを受け、今季ホーム全21試合地上波中継や、強化費アップにつなげる。

 20周年を迎える札幌が、新たな戦略で露出、売り上げ、強化費の3大強化を図る。まず露出増への作戦として、道内地上波での今季ホーム全試合中継を目指す。博報堂DYMPはメディア戦略のプロ。その専門ノウハウを武器に、試合中継や情報番組などへの露出を増やし、クラブ認知度を上げていく。7年という時間をかけ、大きな売り上げを生み出せる組織に変革することが狙いで、結果次第では、その後の契約延長も見据えていく。

 地方のJ2クラブの1つである札幌だが、野々村芳和社長(43)が13年に就任後は、東南アジア戦略を進めるなど特長ある経営を続けてきた。総売り上げは約14億円。人口規模では190万人と、仙台市より約80万人多いが、クラブの売り上げはJ1仙台の24億円には遠く及ばない。札幌はプロモーションにかける絶対的費用が不足しており、この開きを埋めるため“エキスパート”を巻き込んでの一大プロジェクトに乗り出した。

 同社は、野々村社長の熱意や経営ビジョン、北海道や札幌という環境も含めて、クラブの伸びしろを期待。巨額の資金を投じることに賛同した。今後は同社から2~3人の社員が札幌に出向し、既存社員と協力してプロモーション全般の強化を図る。推定年2億円のサポート資金はチーム強化にもあてる方針で、ダブル効果を狙う。

 既存のスポンサー企業とのつながりを土台にしていくことは大前提だが、そこに新たな手法も織り交ぜることで、J1に昇格、定着できるクラブづくりを目指す。