E組の東京がホームでビンズオン(ベトナム)に3-1と逆転勝ちし、初勝利を収めた。公式戦初出場となった高卒2年目のDF小川諒也(19)が、後半23分と同39分に右CKから得点を演出。視察したU-23日本代表手倉森監督に存在を印象付けた。

 90分過ぎても怖いもの知らずの19歳は勢いが衰えなかった。後半ロスタイム。DF小川は左サイドを駆け上がり、ボールを受けるとドリブルで1人かわし、素早いクロスでファーサイドで待つFW前田の頭に合わせた。2点をCKから演出しても貪欲にゴールに迫る姿勢を貫いた。ヒーローインタビューでお立ち台に立ち「まだ決定的な仕事ができる力が伴っていないから、がむしゃらにやるだけだった」と初々しく話した。

 左足で右CKから2得点に絡んだ。まずは1-1の後半23分、ゴールへの軌道を描くボールが、GKの顔面に当たるオウンゴールで勝ち越し。さらに同39分、ニアサイドで前田の頭に合わせて突き放した。交代したMF水沼に代わって急きょキッカー務め、「出るだけじゃなくて結果を残したかった」と巡ってきたチャンスを結果につなげた。

 高卒2年目。ちょうど1年前の3月1日は流通経大柏のサッカー部の送別会に出ていた。「必ずプロとして活躍する」と同期や後輩たちに誓った言葉通り、成長した姿をプロの舞台で見せた。視察したU-23日本代表手倉森監督は「初めて見た」と小川の名をインプット。現時点ではリオデジャネイロ五輪候補リストに加わったばかりかもしれないが、左サイドバックとして可能性は広がっている。

 昨季は1度も公式戦ベンチ入りしなかった19歳のデビュー戦。「ACLという重要な試合で多少緊張もあったけど勝ち切れてうれしい」。素直な気持ちだった。【栗田成芳】

 ◆小川諒也(おがわ・りょうや)1996年(平8)11月24日、東京都生まれ。流通経大柏を経て15年に東京入り。高校3年時の選手権では4強に進出し、大会優秀選手に選ばれた。プロ1年目の昨季はJリーグU-22選抜としてJ3リーグ戦1試合に出場するも、東京では出場機会がなかった。利き足は左。180センチ、75キロ。