日本サッカー協会は27日、東京・JFAハウスで評議員会を行い田嶋幸三会長(58)、岡田武史副会長(59)ら新役員を承認し、その後の理事会で田嶋新体制が船出した。日本代表強化の責任者として、新たに理事に就任した西野朗技術委員長(60)も誕生。J1最多270勝を誇る名将が「世界基準」をテーマにまず欧州行脚から代表強化に着手。初仕事は明日29日の日本代表のシリア戦(埼玉)の視察となる。

 国内随一の実績を誇る名将が、日本代表強化の責任者になった。監督ではない。これまで通りダンディーな振る舞いで取材の場に姿を見せ所信表明。まず「世界基準を知りたい。会長からそういうスケジュールを組まれている。大会、トレーニングなどいろんなところを」。代表選手の所属クラブも含めた欧州行脚プランに言及。田嶋会長が新体制のキーワードとした「世界基準」を探り、代表協会の指針とする。

 立場的にはハリルホジッチ監督の手腕を見定め、場合によってはクビを切り、新たな監督を連れてくる重要任務を受け持つ。ただ、ハリル体制と、その招聘(しょうへい)に当たった霜田前技術委員長への信頼と気遣いから「全面的に現状の体制をバックアップしていきたい」。将来的な日本人の代表監督誕生への期待、Jリーグのレベルへの危機感などは口にしたが、まずは1歩引いた立場からになる。

 いい意味で力は抜けている。初仕事は自宅に近い会場でのシリア戦視察。「29日は伺います。近所なんで(笑い)」。協会内の机も「いらないといっておきました。超アナログ派なんで、迷惑のかからない形で」。ただ、監督と現場には「サッカー人なんで…。ネクタイは苦しい、ジャージーの方が楽」と未練ものぞかせた。日本代表を率いていてもおかしくない人物が、日本代表強化の重責を担う。【八反誠】