仙台はアウェーで神戸と引き分け、連敗を止めた。開始7分に先制されたが、前半18分にFW野沢拓也(34)のゴールで同点に追いつき、後半27分にはMF奥埜博亮(26)の得点で一時勝ち越したが、ロスタイムにまさかの被弾。敵地で善戦したが残り1分、土壇場で勝ち点3を逃した。

 残り1分を守りきれなかった。2-1と1点リードで迎えた後半ロスタイムは4分の掲示。連敗脱出とともに5戦ぶりの白星をアウェーでもぎ取るはずだった。だが同3分、ゴール前でこぼれ球を拾われると、相手シュートは奇麗にゴールへ吸い込まれた。土壇場で浴びた同点弾。もう反撃の時間は残っていなかった。

 試合終了のホイッスルに、仙台イレブンはがっくりと肩を落とす。DF渡部は「最後の最後に体を張る部分や割り切るところ…。もっと集中力を研ぎ澄まさないといけない」と唇をかんだ。渡辺監督は厳しい表情で「非常に悔しい。サッカーの厳しさを改めて教わった試合だった」。リーグ6戦ぶり先発復帰のGK六反は「勝ち点1を取ったが2点を失ったことの方が大きい。勝たなきゃいけない試合だった」と悔しがった。

 連敗は4で止めたが、ナビスコ杯福岡戦で引き分けた「半歩前進」(渡辺監督)のまま。連続失点や得失点後の失点などで勝ち切れない試合が続き、G大阪や浦和に連敗したことを受け、指揮官は手を打っていた。「恥ずかしい話ですけど、中高生のやるようなミーティング」を敢行。練習前ミーティングで全選手が1人づつ、感じていることや思っていることを発表し、それをスタッフが文字に起こしまとめることで、共通意識を高める作業を行っていた。

 その成果もあり、格上との対戦で苦戦したクロス対応や、得失点後の「10分の集中」といった課題は改善。しかし、試合全体を通して見れば最後に足が止まり、受け身にならざるを得ない状況で勝ち点3はさらわれた。渡辺監督は「引き分けから勝ちに結び付け、1歩前進したかった」。この悲劇のドローを糧に、次節ホームの鳥栖戦では、すっきり勝ちきってみせる。【成田光季】