九州代表のソレッソ熊本U12が、東海代表のグランパスみよしを3-1で破り、幸先よいスタートを切った。

 熊本地震から半月がたち、多くの声援とサポートを受け、笑顔でピッチへ駆け込んだ。関東第1代表の大宮アルディージャジュニア、関東第2代表のJACPA東京FC、中国代表の福山ローザス・セレソンも順当なスタートを切った。

 残り3分の大逆転劇だった。0-1の第3ピリオド(P)9分、沢本直希がドリブルで2人かわして右足で同点ゴール。直後にも沢本のクロスに坂井駿也が頭で押し込んで逆転に成功した。なおも勢いが止まらなず、同12分に坂井が個人技でもう1点を追加した。

 多くの期待と声援を背負って臨んだ今大会。試合前には九州出身の日本サッカー協会の田嶋幸三会長の激励も受けた。期待と喜びと同時に緊張に包まれた。第1Pは全国大会の雰囲気にのまれ、体が動かなかった。慣れない芝に足を取られる場面が多く、5分に先制を許した。徐々に主導権を握り、果敢にシュートを打つもGKの好セーブで得点を奪えず。広川靖二監督の「後悔したくないなら腹をくくってやれ!」のゲキに奮起した。逆転勝利をしたものの坂井は「ここまで、送り出してくれた人のことを考えていなかった。40点です」と反省した。

 熊本地震を受けて選手らは避難所生活や車中泊を余儀なくされた。2得点の坂井も2日間は車中泊で「早くサッカーがしたかった」と吐露した。大会前は宮崎県綾町で1泊2日の合宿を実施。宮崎県と鹿児島県8チームと練習試合をして試合勘を取り戻した。この日は「ありがとう綾 ありがとう宮崎・鹿児島」と書かれたTシャツを着用し、感謝の気持ちを示した。

 「乗ったら強い。明日もいろんなドラマがあると思います」と広川監督。九州へ笑顔と勇気を届けるべく、全力で突っ走っていく。