新生名古屋が悪夢に泣いた。1点リードの後半ロスタイムに同点弾を許した。ジュロブスキー新監督の初陣で「残り4分」を耐え切れなかった。試合終了のホイッスルが鳴ると選手はピッチにへたり込み、本拠地は静寂に包まれた。電撃復帰が決まった元日本代表DF闘莉王が見守る前で、勝ち点3がスルリと逃げた。

 新指揮官は冷静に分析した。「いいサッカーはできた。でも、残り15分で疲労感が出た。守備はコンパクトさが必要。あと、声を出して締めることも重要。闘莉王がそれができる」。

 下を向いている暇はない。23日に小倉前監督が休養で事実上の解任となり、新体制となった。一番の「補強」がDF闘莉王だ。さっそくこの日、豊田市内の練習場で汗を流した。前日26日に故郷ブラジルから戻ったばかり。時差ぼけがつらい中、体にむち打ってベンチ外メンバーの練習に加わった。だが、若手が多い練習で「まだナメている。これからカツを入れないと」。試合後も闘将は「(今までの)流れを変えないと」と変革に燃えていた。

 これでリーグ18戦勝ちなしとなり、J2降格圏の年間16位は変わらない。残り7試合で、J1残留圏の15位甲府とは勝ち点7差と厳しい現実がある。だが、新指揮官は「我々としては勝つしかない」と言い、GK楢崎は「ここ数試合よりは次に向けて前向きになれた」と気持ちを奮い立たせた。

 起爆剤となるべく闘莉王は今日28日に正式契約を結び、入団会見を開く予定だ。9月10日の次戦は残留を争う14位新潟戦で、そこには間に合う。久米社長の「7連勝するつもりでいく」の言葉を胸に、選手は勝利を積み重ねるしかない。【小杉舞】

 ▼J1連続試合勝ちなし記録 名古屋がJ1ワースト4位タイの18戦未勝利。最長は10年の湘南で21戦連続。20戦連続は07年の横浜FC、19戦連続は03年の仙台が記録。今季の名古屋の18戦連続は08年の札幌、15年の山形に並ぶ。18戦以上連続白星なしの過去5チームは、いずれもJ2降格。