元なでしこジャパンDFのINAC神戸近賀ゆかり(32)が5日、神戸市内での練習後にオーストラリアのキャンベラ・ユナイテッドに完全移籍する思いを語った。この日の午前にクラブが発表。契約は2月のリーグ終了までとなっている。

 「自分はいろいろなものを見てみたい気持ちがある。その中であまり知られていないオーストラリアがどんなリーグなのか、興味がありました」

 なでしこジャパンの一員として臨んだ今年2~3月のリオデジャネイロ五輪アジア最終予選では、初戦のオーストラリア戦で1-3と敗戦。痛い黒星が出場権を逃す悲劇につながった。「五輪予選で負けてしまったのは、自分の中ですごく大きな出来事だった。アジアを勝ち抜くのは大変と分かっていたつもりだったけれど、五輪を見ていても寂しさがあった。オーストラリアが、なんか気になるんです」。

 最近はINAC神戸でも出場機会に恵まれない立場にあった。8月6日のリーグ杯日テレ戦ではベンチ入りも出場できず。同時期にオファーが舞い込み「こういう試合(日テレ戦)に関われないのが悔しかった。自分はまだできると感じていたので、力を試したくなった」。周囲への相談は行わず、腹をくくったという。

 14年にはFW大野忍と2人でイングランドのアーセナルに移籍。今回は単独での移籍となり、もちろん通訳もつかない。「アーセナルの時はトップチームのGKコーチの奥さんが日本人で、その人に英語を教わった。今回もそういうラッキーがあればいいけれど…。頑張らないといけない」とニッコリ。親しみのある神戸には「寂しいです。サッカーが関係なくても神戸に住んでいたぐらいいいところ。(移籍を)決めてからどんどん寂しさが募ってきました。いつか戻ってこられればと思います」と名残惜しそうに振り返った。

 INAC神戸でのプレーは、今月23日にコノミヤ高槻戦(鳴門大塚)が最後。ホーム最終戦は同16日岡山湯郷戦(ノエスタ)となっている。