東海大仰星(大阪)が、Jリーグ内定者3人を擁する前回王者の東福岡から大金星を挙げた。シュートはたったの1本。0-0の後半26分。CKからゴール前で混戦となり、最後はDF吉田が押し込んだ。大舞台で公式戦初ゴールを決めた吉田は「セットプレーがカギだと思っていた」。CKは強風や日の光まで計算してファーサイドに。少ない好機をしっかりとモノにした。

 1カ月前から「東福岡対策」を始めた。G大阪に加入するMF高江と、磐田入りするMF藤川のサイド攻撃を封じるため、映像を見ながら位置取りを確認した。前日の4日にはピッチ上での最終確認に約3時間を要し、宿舎ではさらに3時間話し合った。MF松井主将は「仕事をさせなかった」と納得の表情。中務(なかつか)監督は「われわれの強さは無知の知。強くない。自分たちの力を把握して王者にどう挑むのか、正しい判断がスマートにできた」と振り返った。

 花園では連覇を狙うラグビー部が決勝進出を決めた。雑草集団のサッカー部は「ラグビー部に負けたくない思いでやってきた。僕らも最高の景色を見たい」(主将のMF松井)と臨んで、13年度王者の富山第一に続き、2試合連続で優勝経験校を撃破。夢だった埼玉スタジアム行きの切符を全員でつかみ取った。【小杉舞】

 ◆シュート1本で勝利 東海大仰星が東福岡にシュート1本だけで1-0で勝った。こうしたケースは極めて珍しく、JリーグではJ1通算6738試合で1度も例がない記録。14年10月5日に徳島が浦和戦、16年5月14日に神戸が川崎F戦でシュート1本で1得点したことはあったが、スコアは1-2、1-3と、ともに敗れていた。今大会の東福岡は、初戦の東邦戦でシュートを1本も打たせずに1-0完封、3回戦の鹿児島城西戦でも被シュート1本で3-0勝利。結局、3戦合計2本の被シュートで1失点し連覇を逃した。