J2横浜FCの「キング・カズ」FW三浦知良(50)が、自身の誕生日の26日、開幕節のホーム松本山雅FC戦(ニッパツ)に先発出場した。チームは開幕勝利を飾った。

 2トップの右に入ってプレー。満員となった観客からの声援を送られ、前線から走り回ってプレッシャーをかけた。序盤からやや押される展開となったが、相手のコーナーキックで身をていしてヘディングでクリアするなど、我慢を強いられる中で守備に貢献した。仲間が体を張って自陣ゴール近くでボールを奪ったときには拍手でたたえ、チームの士気を高めた。

 松本の攻撃を耐えながら、16分に先制点を奪った。MF野村直輝(25)がペナルティーエリア付近右角から右足でミドルシュートをゴール左隅に決めた。

 その後も松本に押し込まれて前半はシュートの機会はなく、1-0で後半に入った。

 カズの初シュートは後半12分。右サイドの崩しからゴール正面約20メートルの位置でパスを受け、右足で狙った。だがうまくミートできず威力を失い、GK正面に飛んでキャッチされた。

 後半20分、FW津田知宏(30)と交替。ピッチに深々と一礼してベンチに下がった。

 そして勝利の瞬間をベンチで見届けたカズは、落ち着いた表情で勝利インタビューに応じた。サポーター、選手、スタッフが僕に勝利をプレゼントしてくれたんだと思います」。この日は横浜FCのホームゲームとして史上最多1万3244人の観客を動員。「最高の雰囲気で高いモチベーションを持って戦えた。こういう雰囲気でやっていくためには僕たち選手が頑張っていかないといけない」とまったく浮かれた様子はなかった。節目の試合でゴールとはならなかったが、勝利で自らの誕生日を祝った。世界も注目する50歳のJリーガーの勇姿、会場からは一段と大きな声援が飛んだ。