J2モンテディオ山形DF瀬川和樹(26)が3日、クラブ初の開幕2連勝に意欲を見せた。今日4日の第2節アウェー・ジェフユナイテッド千葉戦(フクアリ)に向け、2次キャンプ地の千葉・市原市内で今季初となる2日連続の非公開練習で最終調整を行った。京都との開幕戦で先制アシストを決めた「山形の大仏くん」こと瀬川は、2戦連続の先発出場が濃厚だ。トレードマークの、額にある1センチ大のほくろを最大限に生かし、得点時には「大仏パフォーマンス」の披露を示唆した。

 2年間の雌伏の時を経て、飛躍を果たした「山形の大仏くん」から後光が差していた。非公開練習を終え、市原市内の宿舎で取材に応じた瀬川は短い言葉に力を込めた。「出たら、やるだけ。自分の武器であるクロスと運動量を出していきたい」。左ウイングバックの先発に抜てきされた開幕戦では、会心のアーリークロスでFW瀬沼優司(26)の先制点をアシスト。左サイドで強烈なインパクトを残した。クラブ初の開幕2連勝には、この男の爆発力が必要だ。

 腐らずに練習してきた成果が実った。縦への推進力と正確なクロスが評価されて山形へ加入するも、15年のリーグ戦出場はわずか1試合。昨年は屈辱の出場時間1分に終わった。だが日々の練習で居残りを続け、キャンプでもクロス練習に打ち込む瀬川の姿を、木山隆之(たかし)新監督(45)は見逃さなかった。指揮官の期待に即、応えた瀬川は「練習してきたのが報われた。それが形になった」としみじみと振り返った。

 秘密裏に温めてきた構想を披露する。「点を決めたら“大仏パフォーマンス”をやりたい」と仰天告白すると、片手の親指と人さし指で輪をつくり、もう片方の手のひらを静かに正面へ向けて見せた。「いろいろ準備している。サポーターには静かに拝んでほしい」。開幕戦でアシストを決めた時も披露を考えていたが「アシストだと誰も見てくれない」と、得点した瞬間だけに披露する。

 1月17日に静岡・御前崎市から始まった46日間にわたる長期キャンプがこの日、故障者もなく無事に終了した。あとは千葉に勝って、山形へ帰還するだけだ。「結果にこだわってやるべきことやって、試合に出続けたい。最後はクロスを上げていきたい」。苦労人は静かに語ると、前を見つめた。【高橋洋平】