セレッソ大阪FW杉本健勇(24)がゴール量産態勢に入った。アウェーでのヴァンフォーレ甲府戦に臨んだC大阪は、杉本の2試合連続弾で先制したが1-1で引き分けた。2戦連続ドローで8位に後退も、6戦不敗。エース杉本が2戦3発と急上昇中で夏本番へ期待を持たせた。

 FW杉本は後半3分、2試合連続得点となる先制ゴールを決めると、左コーナーへ駆けだした。笑顔で仲間の祝福を待つ背番号9に、アシストしたFW柿谷が飛び付いて喜んだ。

 流れるような動きだった。柿谷が相手DFと杉本の間に絶妙なスルーパスを供給。「良い所に(ボールが)こぼれたから(パスを)出してくれると思った。そのまま信じて走った結果」。ペナルティーエリア内に走り込んだ杉本が、冷静に左足を振り抜いた。今季3点目。エースの役割を果たしたが「(うれしさは)ないっすね。点を取れたけど、悔しい」と唇をかんだ。

 2試合連続でヒーローになり損なった。前節G大阪戦では、0-1から2連続得点で逆転。だが、試合終了間際に追いつかれた。この日は途中出場のMF清武が自陣で与えたFKを契機に同点を許した。「僕の不必要なファウルで失点を食らった。悔しい」と清武。杉本は「2試合連続で悔しいんで、次はチームを勝たせるプレーをしたい」と話した。

 C大阪は決定力が課題だ。今季は公式戦10試合を終え、まだ3得点以上の試合がない。この日のシュートは甲府の2倍以上となる13本、G大阪戦も2倍以上を放った。「チャンスで決められれば良かったけど。残念」と柿谷は反省した。

 一方でJ1では6試合負けなし。尹晶煥監督は「負けていないことに満足するしかない。アウェーでの勝ち点1を大事にしたい」と、大阪から約450キロも離れた甲府での勝ち点1を前向きにとらえた。この日からルヴァン杯を含めて23日間で7試合という強行軍に突入したC大阪に、下を向いている時間はない。【中島万季】