横浜は「純国産イレブン」で降格圏脱出を狙う。就任2戦目の木村浩吉監督(47)は、20日のホーム鹿島戦に、今季初となる外国人選手抜きの先発布陣で臨むことを決めた。チームはクラブワーストタイの5連敗中で、現在16位と苦境に陥っている。同監督は昨季王者が相手でも、運動量で上回れば活路は見いだせると断言。MFロペス、FWロニーらの技術よりも、MF山瀬兄弟らの機動力を重視したサッカーで、9試合ぶりの白星を勝ち取るつもりだ。

 低燃費ニッサンエンジンで、J11冠の強豪を振り回せ!

 19日の練習後。横浜の木村監督は2位鹿島との一戦へ向けたプランの一端を明かした。「運動量で前半からかき回したい」。FW坂田、MF田中隼ら長く国産の雄「NISSAN」のロゴを背負ってきた横浜ユース出身者を一挙投入。走行距離で強豪を圧倒する作戦を打ち出した。

 気温30度を超える酷暑のピッチでは、原油高にあえぐ昨今のドライバー同様「燃費」が重要だ。技術はいわばベンツ級のロニーとロペスだが、木村監督は試合後半に運動量が低下する燃費の悪さを指摘。「うまいけど、この暑さの中では厳しい」と、18日の紅白戦では2人を外した布陣を試した。19日の午前練習中に関東地方で梅雨が明け、暑さが続くことも踏まえ、低燃費の純国産布陣の採用を決めた。

 “国産”の力を自動車大国で示した前ロイヤルズ野茂英雄投手の魂も引き継いで戦う。トップ下にはドジャース時代の野茂氏の背番号「16」と「10」のMF山瀬兄弟が並ぶ。山瀬幸は豊富な運動量に加え、野茂氏同様に半身の体にボールを隠す「トルネードドリブル」で攻撃をリード。「あれだけ長くトップでやれた野茂さんはすごい。オレも何とか点を取りたい」と語気を強めた。兄の山瀬功も練習後、野茂氏のフォークのように無回転で落とすシュートを蹴り込んだ。かみ合えば4度目の兄弟アベック弾も期待できる。

 現在J得点ランク上位10人の中で、日本国籍を持つのは闘莉王のみ。外国人の力が不可欠なのが現状だ。だが日本の暑さに慣れているのはやはり日本人。トレンドにあえて逆らい、横浜が泥沼脱出を目指す。【塩畑大輔】