J1清水DF児玉新(25)が27日の名古屋戦(瑞穂陸)で、5月18日東京V戦以来10試合ぶりに先発することが25日、決定的となった。股(こ)関節痛で戦列を離れて約3カ月。DF岩下敬輔(21)の累積警告による出場停止で巡ってきた出番で、完全復活を遂げる。

 名古屋戦を想定した、この日の練習。累積警告で出場停止のDF岩下に代わり、主力組の左サイドバック(SB)には、故障からの復活を目指す児玉がいた。攻撃練習では丁寧にクロスを上げ、守備練習でも落ち着いたプレーを披露。「徐々に感覚は戻ってきた」とほっとしたように笑った。

 戦線離脱は3カ月に及んだ。「休んでいたからには、もっと成長したい」。日ごとに状態が変わる患部を気にしながら「これまでほとんど鍛えてこなかった」(児玉)腹部周りや臀部(でんぶ)周辺を鍛えて、故障しにくい体づくりに励んだ。また、FW西沢やFW戸田ら先輩の話に、積極的に耳を傾けた。百戦錬磨のベテランの話に「何かがないと、サバイバルには生き残ってきていないなと思った」と刺激を受けた。

 試合を観戦する時も真剣だった。「自分だったらこうするけど、こういうのもあるんだ」と、何かをつかもうと仲間のプレーに目を凝らした。「何事も勉強」。焦りや不安に襲われることなく、前向きな姿勢で復帰を目指してきた。だからこそ、10戦ぶり先発のチャンスにも力みはない。「自分にとってはチャンスだし生かしたいのもあるけど、開幕から常に同じ気持ち」と、自然体でいる。

 復帰した当初こそ「味方も相手も見えない感じ」と話していた試合勘も、実戦を経るごとに戻ってきた。「要求されたことをこなせるよう準備したい。(名古屋は)上位チームだし、たたいたら大きい。たたいて波に乗りたいですね」。前節の4戦ぶり白星で順位を14位と1つ上げた清水に、児玉が加速度をつける。【浜本卓也】