<J1:横浜1-1神戸>◇第24節◇13日◇日産ス

 神戸の日本代表FW大久保嘉人(26)が、3戦連発でW杯アジア最終予選ウズベキスタン戦(10月15日、埼玉ス)に照準を合わせた。今季初めて中盤の左で出場。前半ロスタイムに、FKからのこぼれ球を左足ボレーで豪快に決めた。C大阪時代の03年9月13日京都戦以来、丸5年ぶりの3戦連発となった。

 ゴールの臭いがする場所に、大久保がいる。前半ロスタイム。FKからのこぼれ球を見逃さなかった。相手DFと小林が競った一瞬のスキをつき、左足でボレーシュートを放った。8月23日G大阪戦で9試合ぶりのゴールを決め、立て続けの3戦連発。日本のエースが、ゴールの感覚を体に染みこませた。

 大久保

 チャンスは少なかったけどね。点を取るというより、パスを出したり(攻撃を)組み立てたり…。でもボールを多く触れたから、今日は楽しかった。

 本職のFWではなく、今季初めて中盤の左に入った。くしくも、ウズベキスタン戦が出場停止になるMF松井と同じ位置。攻撃にリズムを付けるため、志願しての変更だったが「代表でも生きる」と明かした。守備に追われ、前線に飛び込むどころか、ボランチの位置まで下がることもあった。前半26分には速攻を止めようとして警告を受け、累積4枚目で20日清水戦は出場停止。それでもシュート2本でうち1本を確実に決め、決定力の高さを見せつけた。

 最高の状態を迎えつつある。出場停止だった6日バーレーン戦は、あえてテレビ放送を見ず「ニュースで結果を見ただけ」だった。3次予選のオマーン戦(6月7日)で自らの愚行で一発退場を受けた悪夢を、思い出したくなかった。しかしウズベキスタンの映像はすでにチェック済みで、分析は欠かしていない。初体験のW杯最終予選に向け、静かに準備を進めている。

 残暑が厳しくピッチ上の温度は30度まで上昇した。最後にオウンゴールで同点に追いつかれる展開だったが、田中達に負けない豊富な運動量で90分間走った。視察した日本代表の大熊コーチは「いつもと違う位置で、体力的にキツかっただろうけど最後まで走っていた」と評価した。ウズベキスタン戦は松井だけでなく、田中達も故障で出場微妙。日本攻撃陣に暗雲が漂う中で、大久保が大きな光を放った。【益子浩一】