<J1:京都2-0磐田>◇第24節◇13日◇西京極

 ジンクスは、6年たっても断ち切れなかった。磐田ハンス・オフト新監督(61)の初陣は、開始早々に手荒い洗礼を受けた。前半2分、守備陣の連係ミスを、いきなり京都FW柳沢に突かれて失点。Jのピッチに、1735日ぶりに帰ってきた感慨に浸る間もなかった。後半29分にはダメを押される2失点目。92年の日本代表戦から続く同監督の初陣連敗記録は「5」に伸びて、降格圏の16位を脱出できなかった。

 「負けた理由はミスが2回あったから。それ以外にチャンスを与えなかったが、相手にはその2回のチャンスだけで良かった」。

 「助けてほしい」という要請で、12年ぶりに復帰した磐田監督。だが、この日は完全にツキにも見放された。早々の失点に加え、自らのサッカーイズムの体現者として651日ぶりにJ1のピッチに先発させたMF名波が、前半28分に負傷交代。後半12分にはMF村井が倒されて得たPKも、FWジウシーニョが失敗した。過去4度の初陣はいずれも無得点。そのジンクスまで引きずってしまった。

 だが、マイナスばかりでもない。わずか3日の指導では、練習後は必ず輪になって一本締め。ミーティングや食事も、全員が顔を見られるように座った。試合前には「ミスしてもいいから、自分たちのサッカーをしろ。ミスがないのは、イニシアチブがないということだから」と鼓舞した。GK川口は「球離れもパス回しも良くなった」と感じた。

 「私は不満足ではない。今後に希望を感じている」。オフト監督はこの日、試合中に1度も席を立たなかった。オフトサッカーはまだ始まっていない。J1残留へ、名将はこれからてこ入れを図る。【今村健人】