<J1:磐田1-0新潟>◇第27節◇28日◇ヤマハ

 磐田は新潟を1-0で下し、10戦ぶりの勝利を挙げた。

 長いトンネルを磐田がやっと抜け出した。新潟を破って、7月17日名古屋戦以来10試合ぶりの白星。就任4戦目での初勝利に、オフト監督(61)は「選手が強いメンタルを見せてくれた。今日は1点目を取れたので、選手を責めない。2点目を取ってくれた方が、ベンチは落ち着いて見られましたが…」。磐田監督として、4344日ぶりに味わう勝利に、口先はなめらかだった。

 前半22分にFW前田が決めたPKの1点を、先発11人が最後まで守り抜いた。来日後、オフト監督は一貫して「1対1で勝たないと意味がない」と、サッカーの原点に立ち返らせた。1対1の勝負だけを約1時間こなし、選手を倒れさせた日もあった。MFマルシオ・リシャルデスをマンマークで封じたMF犬塚は「成果が、感覚的に出ている」。年間王者3度を誇る名門が原点に戻り、勝った。

 就任後の3連敗も焦らなかった。周囲には「最初の3試合はどうなるか分からない」と話していた。来日後2週間が過ぎたこの日が、勝負の時だった。初めて選手に「何としても勝つぞ」と呼びかけて、手にした勝ち点3。順位は17位のままだが、負ければ上と4差がついた試合で踏みとどまった。「チームの努力があったからこその勝利」。不細工な勝利は反攻への布石になる。【今村健人】