日本代表の浦和DF田中マルクス闘莉王(27)が、1日に行われる京都戦に欠場することが濃厚となった。アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)準々決勝アルカディシア戦(9月24日)で、右ひざ外側を強打。治療しながら、9月から26日間で8試合の超過密日程をこなすも、ここに来て状態が悪化した。帯同メンバー20人には入ったものの、ACL準決勝G大阪戦(8日)やW杯最終予選ウズベキスタン戦(15日)もにらみ、無理をしない可能性が高い。

 責任感をにじませながらも、表情は明らかに暗かった。「痛い。でも、ぎりぎりまで様子をみたい」。闘莉王は9月30日の非公開練習では1人、別メニューで調整。結論には達しなかったが、エンゲルス監督は闘莉王欠場時に備え、通常より2人多い20人を京都戦の帯同メンバーに選んだ。

 痛めた患部は過密日程で悲鳴をあげていた。闘莉王はホームでのアルカディシア戦で負傷。中3日で迎えた9月28日の名古屋戦でさらに悪化させた。失点シーンでは右足で踏ん張れずに競り負けた。「出たいのは出たいけど今大事な時期。今回はオレの気持ちだけじゃダメ」。100%の状態で力になれなかった反省もあったのか、弱音を漏らした。

 1日のピッチ状態にも不安がある。エンゲルス監督は、9月29日に自転車で自ら駒場までいき、チェック。試合当日は雨の予報で、通常よりもさらに滑りやすく、軟らかくなる可能性が高い。足にかかる負担も大きく、同監督も「ピッチもあまりよくはない。そこは意識しないと」と、選手に注意をうながしていた。

 手負いの闘莉王の起用に関しては、これまで「ぎりぎりまで見極める」としてきた同監督も、この日ばかりは最後まで「分からない」の一点張り。クラブ関係者によると、患部は内出血した部分が大きくなっているという。「思ったより大丈夫そうだけど…。出る可能性はゼロではない」としたが、不安は尽きない。来週にはACL準決勝があり、その後には国を背負ったウズベキスタン戦も控える。「正直なところ休ませたい」と、別のクラブ関係者は言う。再び首位に立つ可能性のある一戦に、闘将不在の恐れが強まった。【栗田成芳】