聖地を汚せない!

 コンサドーレ札幌は19日、札幌厚別公園競技場で柏と対戦する。J2降格の回避条件は引き分け以上。負ければ、07年横浜FCと並ぶ5試合を残してのJ史上最速の降格が決定する。チームは降格を「NGワード」とし、フロントも仮に降格が決まっても試合後にサポーターへの事情説明などは実施しない。96年のチーム誕生から札幌厚別未勝利のシーズンはなく、同競技場今季最終戦でサポーターに捧げる白星をしっかりつかむ。

 後がないと分かっているからこそ、三浦監督は勝利に対する強い気持ちを見せた。試合前日の18日、札幌ドームのサブグラウンドで調整後「ここにきて引き分け狙いは現実的には難しい」と勝ち点3奪取を約束。その発言の6時間後に対象チームの試合が終わり、J2降格を回避できる条件は引き分け以上に決まった。負ければ07年横浜FCと並ぶJ史上最速降格。だが、もちろん頭には白星しかなかった。

 J2降格を意識せず、平常心で臨む。チーム関係者は「降格と言う言葉を出さないようにしている。選手からも聞かない」と降格を「NGワード」としている。FW中山は「目の前の試合をやるだけと思っている。そこに100%持っていく」と話した。選手は心の中では燃えているはずだが、1戦1戦に集中することしか考えていない。

 クラブ側も仮に降格が決まっても試合後にサポーターへの事情説明などは行わない方針。約9000人のサポーターの来場を見込み、通常より警備員を増やすなど万全な準備はするが、矢萩社長は「(事情説明は)サポーターをあおるようなことになるかもしれない。シーズンが終わってからキチンと話ができれば」という。

 J最速降格とともに絶対に回避したい不名誉な記録が、もう1つある。札幌厚別での未勝利だ。クラブ創設の96年から昨季まで白星なしに終わった年はない。JFL時代は21戦全勝で「聖地」と呼ばれ、昨季も5勝4分け無敗と好成績を残した。だが、今季は4分け3敗と未勝利で、残るは柏戦のみ。MF大塚は「ホームのサポーターの前で(今季わずか札幌ドームでの1勝と)勝利を挙げていない。勝ちたい」と言った。わずかでも可能性が残る限り、ホームのサポーターの前であきらめることはできない。【長島一浩】