<J2:福岡0-0横浜FC>◇第40節◇19日◇レベスタ

 福岡が横浜FCとスコアレスドローに終わり、2位山形との勝ち点差が15に広がり自動昇格が消滅した。3位仙台との勝ち点も12差で、福岡が残り4試合全勝、仙台が残り5試合全敗で並ぶが、得失点差が30あるため、入れ替え戦進出の可能性も事実上、消えた。

 決勝点も、J1復帰も、同時に消えた。福岡はロスタイムが表示の3分を経過した時、ゴール正面約30メートルの地点でFKを獲得。DF中島崇典(24)のキックはゴール右端に飛び、DF丹羽大輝(22)の頭に当たりネットに吸い込まれた。「入ったと思った」と中島らチーム全員が笑顔になったが、判定はオフサイド。次のプレーで試合終了の笛が鳴り「終戦」を迎えた。

 負ければ昇格の可能性を自ら絶つ一戦。篠田善之監督(37)が「全員が、この試合の重要性を分かっていた。守備を意識して、積極性が見られなかった」と振り返った前半は、押されながらも無失点で切り抜けた。後半は攻勢に転じはしたが、うまく攻撃を組み立てられず、相手のミスに乗じて放ったシュートも枠に嫌われ続けた。リーグ戦無失点は、6月25日岐阜戦以来17試合ぶり。失点を止めた時に限って、得点できない攻守のズレが、今季の不振を象徴していた。ボランチの中村北斗(23)は「やられる感じはしなかったが、点を取れないと勝てない。どうしたら点を取れるか、皆で考えないと」と悔しがり、中島も「惜しい、で終わってはいけない」と失った勝利の大きさを痛感した。

 福岡は次節アウェー水戸戦(26日)に勝っても、仙台、湘南、鳥栖のいずれかが勝ち点を63に伸ばせば、2年連続で10月中に昇格消滅となる。「1つの可能性は消えたが、まだゼロではない。プロである以上、集中を切らさずやるよう選手に話した」と前を向こうとする篠田監督の声が、寂しく響いた。【佐藤千晶】