<J2:仙台1-0愛媛>◇第40節◇19日◇ユアスタ

 緊張でガチガチのチームを手負いのFWが救った。J2仙台は、FW平瀬智行(31)のリーグ戦8年ぶりとなるシーズン2ケタの今季10点目で先制。虎の子の1点を守り切り愛媛に辛勝した。J1昇格争いのプレッシャーで、選手の動きはチグハグ。そんな中、経験豊富なベテランが3節ぶりにチームを3位に浮上させた。

 イレブンの動きが重い。先発8人を12日の天皇杯3回戦で温存し「体」はリフレッシュされている。だがGK林は「プレッシャーで硬さがあった」と「心」の異変に気づいていた。ハートが強い主将の梁でさえ、パスミスを連発してピンチを招く。守備の動き出しが遅れ前半だけで10本もシュートを浴びた。この重苦しい空気を、平瀬が破った。

 前半13分。左サイドバック磯崎が、約30メートルの高速クロスをゴール前に上げる。「試合前(クロスを)上げてと言っていた」という平瀬が、頭で合わせた。右ポスト、相手GKに当たってゴール。「まぐれです」と笑う平瀬は試合後、06年に神戸をJ1に昇格させるなど、経験に裏付けられた言葉を仲間に飛ばした。

 平瀬

 遊び心を持ってやんないと。楽しいっしょ(昇格を争う)この状況。(監督交代話など)いろんな問題があるから1つにもなれる。プレッシャーを幸せに思わないと。

 手倉森監督も会見で「プレッシャー」という言葉を何度も口にした。ほめられた内容ではないが「我慢強く勝ち点3を取れたことを自信にする」と前を見据えた。5試合を残して、入れ替え戦出場権の3位浮上。自動昇格圏の2位山形には「1勝」の勝ち点3差。さらに増す重圧を乗り越えた先に、昇格が待っている。【山崎安昭】