J2山形が、来季J1昇格にふさわしい観客動員力を証明する。26日には2位山形がホームで勝ち点6差の4位湘南を迎え、昇格を争う大一番に挑むが、フロントは今季3度目の観客1万人台を目指す。今月中旬にJリーグ経営諮問委員会から、観客とスポンサーの少なさを指摘された。現状ではスポンサー支援の増額が見込めず、来季J1に昇格した場合は、入場料収入の大幅アップで経営を安定させる必要がある。

 現在の山形の経営規模では、J1で戦うのは難しい。昨年度の営業収入は5億円台。J1では選手の獲得費用や年俸総額が増え、最少でも15億~20億円規模の運営費が必要だ。しかし山形のスポンサー関係者は「来季J1に上がったとしても、支援額を増やすのは難しい。(世界的に厳しい経済状況の中で)会社の経営状態が変わらない以上、無理はできない」と話した。スポンサーからの増収を見込めず、J1配分金約3億円以外に頼りになるのは、入場料収入しかない。

 今季の山形のホーム平均観客数は、5484人。昨季J1平均の1万9081人と大差がある。ただ、2強対決になった9月14日の広島戦は、1万4392人の大観衆を集めた。広島から訪れたサポーターは少なく、山形県民だけで1万人以上を動員できることを証明した。中井川茂敏GM(50)は「観客動員の潜在能力はあるはず。来季J1に上がっても、ホームで1万人以上集まれば、経営は維持できる」と話した。

 26日の湘南戦に勝てば、残り4試合で3位以下との勝ち点差3をキープ。自動昇格圏の2位確定へ大きく前進する。注目度が高い上位対決で、今季3度目の観客1万人台を狙う。チームは今週、地元テレビのCMで湘南戦をPR。23日付の山形新聞に広告を掲載した。Jリーグで唯一の社団法人チームが、少ない営業資金をやりくりしている。【柴田寛人】