今季限りでユニホームを脱ぐC大阪のMF森島寛晃(36)が30日、大阪市内の練習場で同僚に現役引退の報告を行った。今季J2リーグ戦は残り4試合で3位仙台との勝ち点8差。3年ぶりのJ1復帰が絶望的な状況だが、「最後まであきらめるな!」と号泣しながら訴えた。この日、森島の引退を正式発表したクラブ側は、来年2月のプレシーズンマッチを引退試合とすることで調整に入った。今日31日には大阪市内で引退記者会見を行う。

 モリシが泣いた。込み上げる思いを抑えられなかった。この日、大阪市内のクラブハウスで行われたミーティングに参加。原因不明の首痛が回復せず、仲間に「今季限りで引退する」と報告した。次の瞬間、普段は笑顔を絶やさない森島が号泣したという。後輩たちは顔を真っ赤にはらし、耳を傾けた。

 森島は「まだ(昇格の)チャンスはある。最後まであきらめるな!」と涙目でゲキを飛ばした。26日仙台戦で3-4とまさかの逆転負けで、J1昇格は絶望的になった。沈んだ空気を察知した36歳は「あきらめずにやっていこう」と訴えかけた。

 その後、報道陣の前に現れ「現役を引退します。明日、しっかり話せるように整理します」と、今日31日の記者会見ですべての思いを吐露するつもりだ。

 クラブ側はこれまでの功績をたたえ、引退試合の開催を行う方向だ。関係者は「あくまで現役選手との試合ではないと意味がない」と例年2月に行うプレシーズンマッチを引退試合として調整に入った。慣れ親しんだ桜色のユニホームを着て、最後のピッチに立つことになる。

 残った選手は最高の形で先輩を送り出すために残り4試合を全勝し、奇跡にかける。主将のDF前田は「こういう厳しい状況で情けない気持ちでいっぱい。森島さんのためにも、最後まであきらめない」と言い聞かせた。ミスターセレッソの涙が、C大阪を奮い立たせた。【奈島宏樹】