1日、いよいよJ1清水が大分とのナビスコ杯決勝(国立、午後1時35分)に臨む。10月31日の前日練習後、長谷川健太監督(43)はナビスコ杯2得点のFW西沢明訓(32)を、右足首痛でメンバーから外した。FW原一樹(23)らイレブンは「仲間の分も」と、結束を深めた。心身とも最高の状態で、大一番に臨む。

 決戦前日、原の表情は硬かった。緊張や重圧が原因ではない。「早く試合をやりたい。みんなの分も頑張らないといけない」と、仲間への思いから、自然と表情は引き締まった。ほかの選手も、一様に「みんなの分も」と話した。

 イレブンが口々にそう言うには、理由がある。この日、右足首の持病に苦しんでいたFW西沢のメンバー外が決まった。西沢がナビスコ杯予選前から、食事中に「優勝したい。決勝に行こう」と話していたのを原は知っていた。

 公私で若手の面倒を見る兄貴分の西沢は、磐田FW中山が持つナビスコ杯最多得点記録(26点)に、あと1点と迫っていた。誰よりも決勝舞台を夢見ていた男の離脱。西沢の無念の思いをくみ取るように原は「アキさん(西沢)が頑張ってくれてナビスコ杯で勝っていたのはあるし、かけていた思いは強かった。その分もやらないといけない」と力を込めた。

 ほかの選手も思いは同じだ。GK山本海は「みんなで、チームとして戦っていきたい」と言えば、MF山本真も「アキさんのためっていうのは、すごいある」。大一番を前に出られない選手の分もと意気込む選手に、長谷川監督も「選手の方が落ち着いていますね」と目を細めた。

 練習後、西沢は「仕方ない。チャンスは目の前に転がっている。あとはつかむかどうか。やってくれればと期待しています」と仲間にすべてを託した。「優勝してみんなで喜びたい」と原。12年ぶりのナビスコ杯制覇を前に、清水が1つになった。【浜本卓也】