<天皇杯:広島2-0川崎F>◇5回戦◇15日◇長崎

 J2サンフレッチェ広島は、J1川崎Fとの5回戦を2-0の勝利で飾った。代表招集により、両チーム合わせて主力4人が不在の一戦。攻撃の手を最後まで緩めなかったサンフレが、J1で優勝争いを演じる強豪を撃破し、J1柏の待つ準々決勝へと駒を進めた。2年連続元日ファイナル進出も視野に入った。

 ガチンコ勝負を力で制した。今季J1最多55得点(31試合)を誇る川崎Fの攻撃力を、J2最多90得点(39試合)のサンフレが上回った。ペトロビッチ監督が試合前に「守備固めに専念するつもりはない」と宣言した通り、強豪相手に引かずに寄り切った。

 守護神・川島、司令塔・中村憲ら主力3人を欠く川崎Fを、あらゆる角度から攻め抜いた。試合開始わずか45秒、MF青山のミドル弾で“乱打戦”ののろしを上げると、その後も波状攻撃を展開。経験の少ない相手GK植草を脅かし続けて迎えた前半33分だ。MF服部の左クロスにMF森崎浩がヘッド。植草が弾いたところに、今度はMF青山が頭から飛び込んだ。先制の豪快ヘッドを「体が反応した」と青山。

 追加点は右サイドの速攻から。後半12分、自陣でボールを奪うとMF柏木-MF李-MF高萩とつなぎ、最後はゴール前に詰めた森崎浩が押し込んだ。FW佐藤寿の代役1トップ高萩からの絶妙アシストに「洋次郎から良いボールが来た」と森崎浩。GK佐藤昭の好セーブ連発など、体を張った守備陣の奮闘もあり、サンフレが見事な完封劇を飾った。

 J1勢相手にJ2王者が連勝。紫の指揮官は「主導権を握った時間帯もあった。この勝利で我々がJ1に値するチームだと証明した」と手応えを口にした。J1勢に一歩も引かないサンフレが、2年連続の天皇杯元日ファイナルへと突き進む。【佐藤貴洋】