J1磐田のハンス・オフト監督(61)が20日、磐田市内での練習で、岡田ジャパンを発奮材料に熱血指導した。自身が日本代表監督として戦った、15年前の「ドーハの悲劇」と同じ地で行われたW杯アジア最終予選カタール戦を、未明のテレビ観戦。同代表の戦いに触発されて?

 この日の練習指導にも熱がこもった。現在15位で残留争いをするが、柏戦(23日)に勝利し1歩抜け出すつもりだ。

 自然と熱がこもった。オフト監督は、選手がよくないプレーをすると、指さしながら名指しで厳しく指摘した。「私はそういうプレーは好きではない。70分の練習をこなして帰るのではなく、日曜日のための準備をしろ。目を覚ませ!」。8対8のゲームを止め、ピッチの中央で野太い声を響かせた。中断後、いいプレーには見入るように前のめりになり、きっかり70分で練習を終えた。

 この日未明には「ドーハの悲劇」を思い出していた。日本代表の試合を自宅でテレビ観戦。93年10月に指揮官として、同じ地で同じW杯予選を戦い、アメリカ行きのチケットを逃していた。「特に思うことはない」としながらも「忘れることはできないが、次に進まないといけない。終わってしまったこと。ただ、残念ではあった」。その悔しさを思い出してか、いつになく厳しく、そして熱かった。

 21日には、代表勢のGK川口とMF駒野が戻ってくる。6時間の時差に加え、柏戦まで中2日の過密日程だが「練習も試合もできる。まったく問題ない」と、指揮官は起用の構えを見せた。あと1歩のところで逃したW杯への道。あの教訓があるからこそ、J1残留に向け、最後の最後まで気を抜くつもりはない。【栗田成芳】