【グアム25日=永野高輔】ダニルソン(22)は速くて強い!

 コンサドーレ札幌のMFダニルソンが驚異の身体能力を見せつけた。この日、午前のステップワーク練習では長いストライドと巧みな切り返しで他選手を圧倒。午後の1対1でも瞬時にボールを奪い攻撃に移るなど、非凡な才能を発揮した。石崎信弘監督(50)も、その能力を高く評価。札幌初のコロンビア人ボランチが、J1昇格への救世主となりそうだ。

 札幌の弾丸だ。もう誰にもダニルソンを止められない。手にボールを抱え、1対1で相手を抜き去るトレーニングで、驚異の走力がベールを脱いだ。100メートル11秒台で走るFW上原でさえ一瞬でかわされ1メートル、2メートルと差をつけられていく。石崎監督はじめ、選手、スタッフ全員が「速い…」とあっけにとられた。

 午前練習で石崎監督は「確かにいいものを持っている。ボールを持ったところを見てみたい」と期待感を口にした。午後練習で早速ボールを使った1対1の練習を行ったが、評価が覆ることはなかった。長いストライドを生かし、相手の足から絡め取るようにボールをカット。自分の間合いになるまで敵といったん離れると、巧みにフェイントを織り交ぜDFをかわしていく。指揮官は「良かった!

 ほとんど勝っとった。腰の使い方がうまい」と手放しで喜んだ。

 1年でのJ1昇格を果たすため、地球の反対からやってきた新戦力。少年時代、近くの農場にすむニワトリを追いかけるうちに自然と走力がついた。「しっかり測ったことはないが、100メートルで10秒台は出せる」とダニルソン。視力も人並み外れている。照明のない路地でボール遊びを続けてきたため、夕闇でも自陣のゴールから相手GKの表情まではっきりと確認できるという。「わなをしかけて大ネズミを捕るのが好きなんだ」。相手の動く先を見通す能力も、本能的に培っていった。

 その身体能力に石栗フィジカルコーチもただただ驚くばかりだ。「初速はエメルソンに近い。加速力はエムボマに近い。エムボマよりスタートの速さがある」。過去のJ得点王と比較しても遜色(そんしょく)ないどころか、上回りかねないインパクトを1日で見せつけた。「蝦夷(えぞ)の黒ヒョウ?

 ああ、そう呼んでくれ」とダニルソン。右肩のサソリの入れ墨同様、ピンチの種は一撃必殺する。