<練習試合:札幌3-2浦項>◇16日◇熊本

 コンサドーレ札幌に“石さんの教え”が浸透してきた。韓国Kリーグの浦項スティーラーズに3-2で勝利を収めた。前半4分の先制点は、練習で徹底してきたサイドバックの押し上げから生まれた。消極的から積極的に、横や後ろではなく前へという、石崎信弘監督(50)の意識改革が結果に結びついた、前進を感じさせる白星となった。

 石崎改革が形になった、大きな得点が生まれた。前半4分、左サイドをDF西嶋が駆け上がる。MF岡本との連係から、最後は西嶋がゴール前へセンタリング。それをFW宮沢が決めた。「みんなが同じ絵を描いて攻撃し、点が取れた。練習で全員が意識していることを、グラウンドで表現できつつある」。“反復”が結果につながり、西嶋は手応え十分にそう言った。

 試合前日の15日、繰り返したのが、サイドハーフをサイドバックが追い越し、クロスを上げる練習だった。夜のミーティングでは14日の清水戦のビデオを見た。消極的だった前半とは一変、積極的に行って好機が生まれた後半との違いを、石崎監督が説いた。「裏をつく動きをしていけばスペースもでき、チャンスが生まれる」。体と頭にたたき込んだ形を結果とした。

 意識を変える必要があった。石崎監督は「球を奪った瞬間にスピードアップするという意識が少なかった。前向きになったときがチャンスなのに、横や後ろというのが今までの意識」とこれまでの印象を評する。昨季J1で負けが込むうち、前に行く気持ちは自然となくなっていった。知らず知らず自信を失っている者も多かった。それを変えるため、就任から「チャレンジ」を徹底し、強い気持ちを呼び起こさせてきた。

 実戦4試合目のこの日、チームは確実に変わってきた。好機と感じたときの速い仕掛け、常に前を向いてプレーする態勢を貫き、主導権を奪い続けた。右サイドバックに入った藤田は「練習でやったこと、ミーティングで出たシーンなど意識してやれていた」と進歩を感じている。石崎監督も「今までの形を変えるのは難しいが、前向きにやってくれている。ゲームの中で気持ちが出てきた」と変化を強調した。

 得たものもあるが、指揮官は当然満足などしていない。「もう一工夫して崩す意識があれば点を取れるし、コンビネーションなども改善の余地がある」。もっともっと強くするため、日々チャレンジしていく。【砂田秀人】