<練習試合:浦和3-2蔚山>◇24日◇鹿児島県指宿市

 浦和FW原口元気(17)が、クラブ史上最年少で開幕先発に抜てきされることが濃厚となった。24日の韓国Kリーグ蔚山との練習試合で先発出場し、後半19分までプレーした。フォルカー・フィンケ監督(60)は「今日が公式戦だったら、今日のメンバーは、必ずメンバーに入るだろう」と明言。3月7日のJリーグ開幕鹿島戦での先発起用をほのめかした。スピードあるドリブルと、決定力を兼ね備えた17歳が、新生レッズの切り札となる。

 ピッチに立てば、年齢は関係ない。得点にこそ絡まなかったが、2列目の左で先発した原口は積極的にシュートを放った。課題としていた守備でも、体を張って健闘。当たりの激しい相手にも、屈することなく、スライディングでボールを奪いにいった。ここ最近は、調子の悪さを感じていたが「少し(調子が)戻った。今日は悪くなかったと思う。ドリブルでもボールを取られなかった」と、手応えを口にした。

 フィンケ監督は18日の浦項戦とこの日の蔚山戦を「(相手に)力があり、選手の評価につなげやすい試合」と位置付けていた。その中で、高原、闘莉王、阿部、鈴木らとともに、原口を2試合とも先発に起用。「今日が公式戦だったら、今日のメンバーは必ずメンバーに入るだろう」。この日先発させたメンバーが、レギュラーに、開幕スタメンに最も近いことをほのめかした。

 浦和は今季、補強をほとんど行わず、ユース世代を含めた現有戦力の底上げを図ってきた。フィンケ監督は、原口をはじめ若手を積極起用。昨年のリーグ戦、天皇杯、ナビスコ杯と、いずれもベンチ入りすらできなかった19歳のMF林をこの日は2列目の右で先発させ、林は前半38分、FW高原のゴールをアシストした。

 中でも原口は、17日から始まった鹿児島・指宿合宿での練習試合全4戦に、チームでただ1人先発出場した。「彼のようなタイプの選手は、できるだけ多く試合経験を積ませることが大切」と同監督。生まれ変わろうとしている浦和の「象徴」が、原口だった。

 評価に直結する浦項戦でのゴールを含め、これまでチーム2位の5点を挙げている原口は「前の4人は自由に動けますから。調子を上げて、監督にアピールしたい」。17歳での開幕スタメンなら、クラブ史上最年少。成長著しい若きストライカーが、覇権奪回を狙う浦和の切り札となろうとしている。【今井恵太】