<J1:浦和1-0名古屋>◇第5節◇12日◇豊田ス

 浦和のFW原口元気(17)が、名古屋戦でJ1史上6番目の年少初ゴールを決め、チームに勝利を呼び込んだ。

 17歳の体に宿る「ストライカーの直感」を信じて待ち構えた。前半終了間際の43分。原口は味方の左クロスを横目に見ながら、ゴール前へ向かった。「ボールが、こぼれてくる」。敵味方入り乱れて激しくポジションを奪い合う中、自分以外は誰もいないエリア。その直後、闘莉王がクロスを頭で折り返し、エジミウソンが相手DFと競り合ったこぼれ球が、足元へ。ゴール左隅へ、右足で弾丸シュートを蹴り込んだ。

 プロ初ゴールが、Jリーグ通算10勝4分け22敗と浦和が苦手としていた名古屋戦での決勝点。しかも、田中達の負傷で前半22分からのスクランブル出場だった。「打ちやすいところでした。思い切り打とうと。でも、あんまり覚えていない。もっとうれしいと思っていたんですけど」。先輩の手荒い祝福を受けるまで、17歳11カ月3日というJ史上6番目の年少ゴールをやってのけたという実感がわかなかった。

 ジュニアユース時代から高い技術力とスピード、絶妙なポジショニングに定評があった。フィンケ新監督の目にも留まり、今季開幕前にプロ契約。既に公式戦4試合でスタメンに抜てきされていた。この日の相手と会場は、ユース所属でJデビューした昨年5月のナビスコ杯予選と同じ。28分間の途中出場で惨敗していただけに、発奮した。前線で常に相手DF陣の裏を狙い続け、守備時には最終ラインまで駆け戻り、チームに今季初の連勝をもたらした。

 浦和で結果を残し、将来は海外へ-。野望があるからこそ「年齢的なものではなくて、1人の選手として評価してもらえるようになりたい」と願う。海外リーグの映像を見ては、10代選手の技術力に「自分は通用しない」といさめた。学年が1つ上の鹿島FW大迫にも「負けたくない」という。クラブ史上最年少得点記録を樹立しても「先発で使ってもらえるように頑張らないと」。大器がまた1つ、成長のあとをピッチに刻んだ。【山下健二郎】