<J1:浦和1-0千葉>◇第7節◇25日◇フクアリ

 浦和が、千葉を1-0で下し、4戦連続の完封勝利で今季初の首位に立った。4試合連続の1-0勝利はJ1史上初で、昨年8月27日に陥落して以来、241日ぶりの首位となった。

 わき上がる闘志が、体を突き動かした。前半終了間際の42分。浦和DF闘莉王(28)は、相手FKにフリーで駆け込んだ千葉MF工藤を目に留めると、歯を食いしばりながら全速力で追った。オレが止める-。ペナルティーエリア付近でとらえると、迷うことなくスライディングタックル。かわされれば、GK都築と工藤が1対1になる、絶体絶命のピンチを救った。

 大雨でピッチがぬかるみ、連動サッカーの生命線といえる素早いパス回しができない。加えて、ホームの勢いをかって激しく攻め立てる千葉に苦しんだ。闘莉王は「最悪の状態だった。こういう状態でこそバランスを崩さないようにしないと」。連勝を重ねた最近の公式戦4試合、すべて前半に挙げていた得点が、この日は生まれなかっただけに、守備陣の集中力が勝敗を分けると覚悟していた。

 昨季はFWエジミウソンと並ぶチーム最多11得点を挙げた。V奪回のかかる今季も、最後方からの攻撃参加に周囲の期待も高い。フィンケ監督からもプレーを制限されていないが、リーグ戦6試合を終えて無得点。「オレだって、珍しく我慢しながらやってるんですよ」と苦笑いしつつ「無理に前へ行ってバランスを崩したくない。まずは、やるべきことをしっかりやる」と心に誓っている。

 個人能力に頼りがちだった従来の戦い方に、組織戦術が加わった今季。首位奪取にも「まだまだ早い。オレらはこれから研究されるんだから」。チームの基盤を築くために、原点に返って自分自身の役割を見つめ直す姿勢が、連続完封につながった。【山下健二郎】