2人欠場の危機は、カメレオンばりの変化で乗り切る。コンサドーレ札幌は29日、札幌ドームで愛媛と対戦する。ボランチの上里と左サイドバックの西嶋を出場停止で欠く状況に、石崎信弘監督(51)は28日、本来FWの宮沢裕樹(19)をボランチで初起用することを決めた。機能しなかった場合には、3バックへの変更も含め、試合中に配置を次々と替える変幻自在のサッカーで、4連勝を狙う。

 試合前日の28日に札幌ドームで行った紅白戦、石崎監督が驚きのプランを披露した。出場停止の上里に代わってボランチに入ったのはFW宮沢。「いろいろ考え、みんなで話して今日(28日)の朝決めた」。開幕前のキャンプで試したことはあるが、試合では初めての起用。室蘭大沢FCに所属した中3以来の位置に、宮沢は「やってやろうという気持ち。期待に応えていいプレーをしたい」と指揮官の思いを受け入れた。

 苦肉の策ではある。開幕から10試合スタメンを務めてきた上里と西嶋を欠く。「1枚なら何とかなるが、2枚いなくなると苦しい」。石崎監督はそう漏らしたが、決してマイナスにはとらえていない。「宮沢は攻撃の起点になれるんじゃないかな」とパスセンスの良さに期待した。そして何よりその頭には、機能しない場合の対応策が、しっかりと練られている。

 愛媛戦の先発は、位置こそ違えど、今季5試合以上に出場している11人を選んだ。「試合中に変化しやすいメンバーをそろえた」。初起用などギャンブルはせず、位置の入れ替えからシステム変更まで含め、状況の変化に対応できる面々にした。「ダメなら次から次にカメレオンのように変化させるよ」。95年から始まった監督生活での経験と感覚を駆使しながら、90分間を有利に進めていく。

 3トップで攻撃的な愛媛との戦いに、勝算はある。「C大阪戦(4○1)がうまくいったのは、攻撃的な相手に攻撃的なディフェンスが機能した結果だから」。高い位置からプレッシャーをかける。一貫してやってきたコンセプトを発揮できれば、好結果は見えてくる。【砂田秀人】