<J2:仙台2-2東京V>◇第22節◇21日◇宮城

 仙台が東京Vと2-2の引き分けに終わり、3位からの浮上に失敗した。後半17分に先制されてリズムを失い、焦りがミスを誘発。FW平瀬智行(32)の今季5点目、DF渡辺広大(22)の4季ぶりゴールで、2度のビハインドを追いつくのが精いっぱいだった。2位C大阪が敗れたチャンスで足踏み。前節に続き上位進出を、みすみす逃した。

 時間を刻むごとに、イレブンの焦りが色濃くなっていく。守勢に回り我慢の時間が続き、追う展開になって反撃を試みてはミスを連発。MF梁が「うちは追いかける立場になると(プレーの)正確性を欠いてしまう」と唇をかむように冷静さを失った。2度のビハインドを追いついても、狂った歯車は戻らなかった。

 リーグ最少失点の堅守を破られては、勝ち点3を計算できない。後半23分に与えた2点目は、1-1に追いついた直後の失点。流れを取り戻すチャンスを手放し、焦りが増幅した。先制すると12勝2敗、先制されると2勝2分け3敗、さらに複数失点試合は2分け2敗…。今季の数字が象徴している。「自分たちのサッカーをすれば負けない」と選手が口にするように、主導権を握れば安定するが、思惑通りに試合が運ばないと、もろさを露呈する。猛攻に見えた後半ロスタイムも、前がかりなだけで余裕のなさを感じさせた。

 選手も指揮官も、それは分かっている。FW平瀬が「冷静なら、相手DFが強い時は中央は攻めない。でも今日は、点を追って中に放り込みすぎた」と指摘すれば、手倉森監督も「先制点が試合のキーだった。逆に先制され、2点目も取られては…。ミスが増えて攻撃の切り替えが遅くなった」と認めた。

 「悲観する引き分けじゃないし、次節の栃木戦から巻き返したい」と指揮官は前を向くが、2位C大阪が連敗して浮上のチャンスがあった。上位に歩調を合わせては「J2の強豪」の看板は外せない。【木下淳】