<J1:鹿島3-0名古屋>◇第10節◇1日◇瑞穂陸

 強すぎる、記録的独走だ!

 首位の鹿島が3-0で名古屋に圧勝した。前半22分に長短5本のパスをつないでFW興梠慎三(22)が先制点を奪うと、同43分にMF野沢拓也(27)が追加点、後半8分にはFWマルキーニョス(33)が3点目を決めて、リーグ戦8連勝をマーク。この勝利で2位川崎Fと勝ち点8差とし、J1が1シーズン制になった05年以降、第15節終了時点での最大差になった。

 強さが違った。鹿島がリーグ3連覇へ向け、盤石の態勢を整えた。難敵名古屋に格の違いを見せつけて3-0と圧勝。先制点を挙げた興梠は「久しぶりに楽しく、余裕を持って試合ができた。立ち上がりから点さえ取れればいけると思った」と笑みを浮かべた。

 先制点から圧巻だった。前半22分。MF青木の右サイドへのロングパスを起点に内田、本山、マルキーニョス、本山と5本のパスをつなぎ、最後は興梠が確実に押し込んだ。「完全に崩して、いい形で点を取れた」と興梠が自画自賛するほどの鮮やかな一撃だった。

 2点目も創造的なゴールだった。MFパクが左サイドを突破してクロスを上げると、本山、興梠が跳び上がってスルー。野沢が左足で追加点を奪った。興梠が「ぼくが本山さんに『スルー』と声をかける前に、背後の野沢さんが『スルー』と言っていた」と話せば、野沢は「パクがクロスを上げる瞬間に早めに声をかけたら、みんなスルーした。ぼくの方が体勢が良かったから」と振り返った。

 6月24日のACL決勝トーナメント1回戦FCソウル戦に敗れた後、同28日の大分戦に続くアウェー2連戦。試合当日まで故障を抱えたFWマルキーニョスとMF野沢の出場が微妙な状況で、同30日にFW佐々木とMF遠藤を「緊急招集」したほど。だが、マルキーニョスも後半8分にゴールを挙げ、故障を抱える2人が活躍するなどチーム力の高さを見せつけた。

 ACL敗退ショックからチームも立ち直りつつある。前日6月30日にGK曽ケ端に第2子となる女の子が誕生。小笠原、野沢が音頭を取り、宿舎でゆりかごダンスを練習した。この日「実演」できたのは「結局おれしかやらなかった」という野沢のみだったが、雰囲気は上がっている。

 3月15日の新潟戦に敗れて以来、リーグ戦は13戦負けなしの11勝2分。2位川崎Fには1シーズン制の15節終了時では最多の勝ち点8差をつける。次戦5日は2位川崎F戦。興梠は「川崎はACLで勝っているけど、ぼくらは負けた。リーグへの思いは絶対ぼくらの方が強い」。川崎Fをたたき、さらなる独走状態を築く。【菅家大輔】