損して得取った!?

 名古屋は9日、FWダビ(25)がカタールリーグの強豪ウムサラルへ完全移籍することが決まったと発表した。シーズン途中のリーグ得点王(10点)の電撃退団は痛手だが、不測の事態に備えて高額の違約金(移籍金)を設定していた。オイルマネーで潤う相手クラブ側からは、満額の7億円が支払われる見通し。札幌からの獲得時にかかった費用は3億円で、名古屋は差額の「4億円」を手に入れることになる。(金額は推定)

 ダビが名古屋に「置き土産」を残す。6月下旬にウムサラルから正式オファーが届いて以降、クラブは全力で慰留に努めてきた。だがダビの中東行きの意志が固く、国際移籍のルール上満額の移籍金が支払われた場合、所属クラブに拘束力はなくなる。シーズン途中でまたしても、オイルマネーをバックにした電撃移籍が成立した。

 ただ、転んでもタダでは起きない。3億円で札幌から獲得したダビが7億円で売れた。差し引き4億円が手に入る。これはJ2下位クラブの年間予算にも匹敵する額だ。ここまでに今季リーグトップの10得点という数字も価値がある。

 ダビは札幌に在籍した昨秋も、同じカタールリーグのクラブへの移籍が成立寸前までいった経緯がある。この騒動を教訓に名古屋は、シーズン途中の「引き抜き」に対し高額の移籍金を設定。結果的にこれがモノをいった格好だ。

 エースの電撃移籍という最悪の事態も想定し、オーストラリア代表FWケネディを獲得している。過去の中東への強奪劇では発表とともに退団-離日するパターンだったが、ケネディがデビューする18日のリーグ京都戦(豊田ス)まで公式戦3試合、引き続き名古屋でプレーすることで両クラブ間で合意。ケネディとエースの「引き継ぎ」もできる。ダビは「まず、サポーターの皆さんにゴメンナサイと言いたい」と謝ったうえで、「残り3試合最大限の努力をする」とさらなる「置き土産」も予告していた。