恭子先生に教えてもらった!

 G大阪が、五輪金メダリストから「逆転優勝の教え」を受けた。次節大宮戦(10月4日、万博)に向け練習を再開した29日、Jリーグ選手会の企画で92年バルセロナ五輪の水泳女子200メートル平泳ぎで優勝した岩崎恭子さん(31)が万博練習場を訪問。約1時間の“特別講義”が開催された。G大阪は首位鹿島と最大19差あった勝ち点が現在は4差。奇跡の逆転Vが現実的となった段階で、14歳で金メダリストになった恭子先生が勝利の女神となる。

 奇跡の逆転Vを狙うG大阪に、勝利の女神が舞い降りた。この日の練習後、クラブハウスの一室に選手が集められた。次節大宮戦に向けたミーティングか?

 誰もがそう思ったが、トントンとノックして部屋に入ってきたのは、渋い顔の西野監督ではない。ほんのりと香水のにおいを漂わせながら、バルセロナ五輪金メダリストの岩崎恭子さんが笑顔で入ってきた。

 選手全員が“美人教師”に見とれていると、特別講義が始まった。選手会の企画の一貫だったがG大阪の現状とダブる部分もあり、選手はすぐに感情移入した。14歳で92年バルセロナ五輪に出場した恭子先生は、五輪前の自己ベストを4秒43も更新して優勝。奇跡的な出来事を成し遂げた。G大阪もJの歴史で例のない、首位鹿島と勝ち点19差からの大逆転Vへ突っ走っている最中。競技は違えど「自分で限界を決めないで!」という恭子先生の“勝者の精神論”は、同じアスリートとして心に響いた。

 約1時間の授業を終えると、選手の目の色が変わった。DF安田理は「めっちゃきれいやった。30代とは思えん…」とポツリ。そして真剣な顔になり「金メダリストの言葉は重みが違う。ガンバも逆転したら(恭子先生と同じ)5秒を縮める勢いやし、やらんとダメでしょ」。FW播戸も「歴史は作っていくもの。このチームはそれをやるだけの力がある」と言い切った。

 一時は19差あった鹿島との勝ち点差は、2カ月半かけて同4差まで縮まった。次節はリーグ3連敗中の苦手大宮との対戦だが、残り7戦で足踏みは許されない。「ポイント(勝ち点)の計算はナンセンス。自分たちがどこまでやれるかにかかっている」と西野監督。“女神”に魔法を振りかけられたG大阪が、奇跡へのラストスパートをかける。【益子浩一】