9日、鹿児島キャンプを本格的にスタートしたJ1磐田で最も注目されているのがDF那須大亮(28)だ。地元鹿児島実出身ということもあり、新主将は「ジュビロの顔」として静岡、鹿児島のテレビ、ラジオ局から取材攻勢を受けた。主将の自覚に地元の熱い視線も加われば、発奮せずにはいられない。午前練習で右太ももに違和感を訴え、一時離脱したが午後には復帰。「全治3時間」で初日を引っ張った。

 小走りで現れた。午前練習を右太もも痛で離脱したDF那須が、午後練習開始直前、練習場に姿を見せた。宿舎から約500メートル、バスに乗らず「全治3時間」で復帰した。那須は「午前は大事を取って休みをもらった。朝起きたらなんかおかしくて。昨日のセレモニーで話をするとき緊張しすぎちゃったかな」。痛みとともに笑い飛ばした。

 気力がみなぎるのも無理はない。地元鹿児島でのキャンプとあって、午前中から鹿児島、静岡のテレビ局から取材攻勢を受けた。10日以降もラジオに単独出演するなど、那須フィーバーが巻き起こっている。昨年限りで退団したFW中山に代わって主将に就任した。「(移籍)2年目なので心身ともに充実している。主将という立場でチームを引っ張っていきたい」と、リーダーとしての自覚を高めている。

 7年ぶりの出来事もあった。午後練習前、実は治療もありバスに乗り遅れて出発時間に遅刻した。それでも、「(横浜)マリノスで遅刻したとき、その年(03年)に完全優勝できた。今年もいいことがありそう」と、吉兆ととらえた。何事も前向きに考え、プラスへ持って行く。ピンチをチャンスに変える極意だ。

 今季ボランチとして使い続ける柳下監督からは「那須をDFに戻すの最後の最後になるだろう」と、絶大な信頼を受ける。「開幕に向けて大事な10日間になる」と那須。今季チームが噴火するために、地元鹿児島で牙を研ぐ。【栗田成芳】