<J2:札幌3-0千葉>◇第18節◇18日◇フクアリ

 コンサドーレ札幌が文句なしの快勝でリーグ再開初戦を飾った。3位千葉を下した。MF古田寛幸(19)が前半5分にセットプレーからのこぼれ球を押し込み先制。後半44分にも得点し、プロ入り初の1試合2発。後半ロスタイムにはMF岡本賢明(22)が今季初ゴールを決め、ダメ押しした。3試合ぶりに勝ち点3を挙げ暫定9位に浮上し、J1昇格圏3位との差を8に縮めた。

 古田が両足で魅せた。まずは前半5分、左CKからのこぼれ球を苦手な右足で押し込んだ。「あそこは右しかないと思った。思い切って振り抜きました」。クラブのJ2・500点目を決めると圧巻は後半44分、右サイドをドリブル突破して相手DFを1人かわし左足を振り抜いた。「中学から得意としている形なので」。右45度から放たれたボールは鋭い弧を描き、ゴール左上に吸い込まれた。

 貴重な2得点に石崎監督も「特に2点目は古田の点を取りたいという気持ちがボールに乗り移ってた」と評価した。先制点を奪ってからは、押し込まれるシーンが多かったが、疲労がたまった中での貴重な追加点となった。「終盤での得点が少ないと言われていたから」と古田。札幌は前節の愛媛戦まで、残り15分での得点がわずか1だった。上位陣は1位柏と2位甲府が11、3位千葉が9。「とにかくゴール前での工夫が足りない」と努力を続けてきた19歳の終了間際のゴールは、チームの変ぼうを遂げる貴重な1発になった。

 沖田コーチは古田について「どこかの場面を指摘すると必ず細かく覚えていて“ああ、あそこですね”とすぐ反応が返ってくる」と言う。1つ1つのプレーに対する厳しさはチームの中でも1、2位を争う意識の高さ。W杯南アフリカ大会中は尊敬するメッシが出たアルゼンチン代表の試合をすべて録画して研究した。自分を高めることに貪欲(どんよく)だ。同コーチが「間違いなく伸びる選手の1人」と話す努力家がチームに勢いを注入した。

 ロスタイムには岡本が3点目を決め、今季最多得点差での快勝となった。古田は「ここで終わらず、これから上昇気流に乗っていきたい」と先を見据えた。札幌が1カ月以上の中断明けで勝ったのはこれが初めて。勝負にも暑さにも強い札幌が逆襲を開始する。【永野高輔】