資金難により6月からJリーグ関連会社が運営するJ2東京Vが、将来的に練馬区に本拠地を移転する計画を持っていることが10日、分かった。同計画は2年前に練馬区側が東京Vに打診した。区内に集客可能な陸上競技場がないため新スタジアムを建設する構想があり、同区はJクラブを誘致する意向を持っていた。

 昨年3月には「練馬区スポーツ振興基本計画」を策定。同振興策の一環として、昨年から東京Vとタイアップし、「練馬区サンクスマッチ」として国立競技場で開催される東京Vのホームゲームに同区内の小学生を無料で招待するなどの企画を実施している。

 一方、資金難の東京Vには運営費軽減と、地域密着の促進という課題があった。東京・稲城市の「よみうりランド」内にあるクラブハウスと練習場の賃貸料は昨年まで約3億7000万円。かつての親会社、読売グループは経営譲渡を円滑に進めるため、今季は約1億5000万円程度への減額に合意していたが、来期からは約2億~2億5000万円に見直される見通し。また、ホームスタジアムの東京・味の素スタジアム1試合使用料も約2000万円(警備費含む)と、クラブ経営を苦しくする一因となっている。

 同区との連携で、クラブハウスと練習場、新スタジアムが安価で利用できれば、大幅な経費削減になる。こうした東京Vと、新スタジアムにJクラブを誘致したい練馬区の思惑が一致し、水面下で交渉は進んでいた。関係者によると東京Vは5年後、早ければ3年後をメドに移転を計画。一方で、東京Vに出資している稲城市、日野市、立川市、多摩市との交渉も並行して進めなければならないこともあり、今後も紆余(うよ)曲折が予想される。