<J1:名古屋5-1清水>◇第24節◇25日◇アウスタ

 悲願のリーグ初制覇を目指す名古屋が、FW玉田圭司(30)のハットトリックなどで清水に5-1で大勝し、首位固めに成功した。玉田は1点を追う後半5分に同点弾を決めると同17分、26分と得点を重ね、柏在籍時の04年6月26日C大阪戦(長居)以来、2度目のハットトリック達成。異なる2チームで達成した日本人はJ1通算6人目。今季リーグ通算得点も10点と2ケタに乗せた。広島と1-1で引き分けた2位鹿島との勝ち点差は7に広がった。

 絵になる男だ。直接FKをねじ込み、この日3点目を決めた玉田は、誇らしげに左手を上げた。指を3本立て、ハットトリック達成のアピール。自身2度目、名古屋移籍後は初の1試合3得点。「頭で考える前に、体が自然と動く」。絶好調FWが、首位を走るチームを大勝へと導いた。

 前回対戦(7月24日、瑞穂陸)では2点を決めたがPKを失敗。試合も3-3で引き分けた。「あの試合があったから、今日がある」。達成し損ねた記録をしっかり決めて借りを返し、今季清水からは計5点の荒稼ぎだ。前回ハットを達成した柏在籍時の04年以来、自身3度目となるリーグ2ケタ得点に到達。この日2ゴールを決め同13点とした同僚FWケネディからは「あまり取らないでくれと言われました(笑い)」。初の得点王も見えてきた。

 一見ぶっきらぼうだが、仲間思い。個人の記録より「チームが勝ったことが一番うれしい」と強調した。昨年結婚し今年で大台の30歳を迎えた。夏場には後輩MF小川の誕生会を計画。たくさんのチームメートやその家族を呼び、自らケーキを用意するなど幹事として盛り上げ役を買って出た。ピッチ内外でチームを引っ張る存在になっている。

 ストイコビッチ監督も「今日の玉田はパーフェクト。世界中のどんな監督だって感謝する働き」と絶賛した。チームを優勝させると移籍加入して5年目。玉田のハットトリックが、リーグ初Vを目指すチームに大きな活力を与えたことは間違いない。【八反誠】