<J1:山形1-0京都>◇第32節◇23日◇NDスタ

 山形が京都を1-0で下し、J1残留を決めた。勝てば残留決定の状況の中、後半6分にFW田代有三(28)が価値あるゴールを決めた。山形は小林伸二監督(50)に来季続投要請をしており、この残留決定で来季の「小林体制」継続の可能性が高くなった。

 大舞台で輝くのがエース。FW田代が大黒柱たるゆえんを証明した。後半6分、DF石川のクロスに飛びこむ。しっかり頭でとらえると、相手ゴールが揺れる。J1残留を決める殊勲の一発。勢いそのままにゴール裏へ。「モンテブルー」に染まったスタンド。イレブン、サポーター、そして誰よりも届けたかった人へ最高のプレゼントを贈った。

 10月下旬、祖父安之さん(享年83)が他界。大事な時期だったが、田代は福岡の実家へ戻り、葬儀に参列した。幼少期から祖父と一緒に住んでいた。サッカーは詳しくないが、いつでも応援してくれた。晩年は記憶も定かではなかった。それでも家族から「有三が点を決めたよ」と聞くと、笑顔を浮かべていたという。

 14日のC大阪戦で得点を決め、天高く両手を突き上げた。「もちろんおじいちゃんを意識しました」。だが結果は3-3のドロー。20日の天皇杯4回戦・川崎F戦での得点も空砲となった。「持ってる男」はここからが違う。すべては残留を決めるゴールへの序章。「おじいちゃん孝行」の一発が光り輝いた。【湯浅知彦】