【11日(日本時間12日)オランダ・アムステルダム】オランダ1部リーグの名門アヤックスと東日本大震災復興支援マッチを行う清水が当地に到着し、スキポール空港ではアムステルダム市などの温かい出迎えを受けた。400年続く国交を縁に企画された支援マッチは、現地企業だけでなく、現地の日本企業や商工会メンバーらが無償で全面バックアップしており、復興への深い祈りが伝わってきた。

 清水イレブンが約11時間のフライトを経てオランダに到着すると、空港内のラウンジで歓迎レセプションが行われた。アムステルダム市長から「日本の犠牲者の方々に対し、皆さんと一緒に支援できることを光栄に思います。今回の試合はオランダ国民が日本に対し、何かをしたいという思いから自然に湧き上がった」と、支援マッチ開催までの経緯の説明を受けた。

 日本が鎖国していた江戸時代に唯一、国交のあったオランダとは400年以上の友好関係がある。「自然に湧き上がった」という思いは、組織や企業など各方面にわたっている。支援マッチを中継するオランダ国営放送は連日CMを流し、来場と視聴を呼び掛けている。日本-オランダ間の運賃はKLMオランダ航空が提供し、試合会場のアムステルダム・アレナの使用料は無料。試合前にはオランダの音楽アーティスト数組がチャリティーコンサートにボランティア出演する予定だ。

 肥塚在オランダ日本大使館特命全権大使は「オランダ国内で強い関心と同情を集めている。国会で黙とうも行われ、大使館には手紙やメール、電話が何件も寄せられた」と、明かした。興味本位で事実とは違う報道がなされる国もある中で、国と民間を挙げた支援マッチの実現は、何より現地邦人や日本企業の胸に響いた。こちらのサポート態勢も手厚い。オランダ国内の移動に関してはJTBがバスとガイドを手配。練習道具などの荷物はヤマト運輸が空輸を買って出た。さらに試合前日からの2泊はホテルオークラが引き受けるなど、これら全て無償で行われる。それ以外にも、多くの日本企業がスポンサーに手を挙げた。

 清水イレブンも、現地の支援マッチに対する期待の高さを出発前以上に感じていた。かつて、オランダ1部リーグのフェイエノールトに所属していたMF小野伸二(31)は「このような歓迎をありがたく思います。僕たちは試合で100%のパフォーマンスを見せられるように準備します」と、オランダ語で宣言。オランダ人だけでなく、現地日本人ともタッグを組み、復興支援の輪を世界に広げるプレーを約束した。【為田聡史】