<J2:鳥栖1-0札幌>◇第13節◇21日◇ベアスタ

 敵地でどうにも勝てない。J2札幌は鳥栖に敗れた。前半12分に失点し、攻撃陣は今季ワーストのシュート3本と沈黙。クラブワーストタイの敵地6戦連続無得点での敗戦となった。アウェーでは昨年11月14日水戸戦から7試合連続未勝利。気温29・2度と札幌より10度以上高い暑さも影響して運動量が上がらず、不完全燃焼な試合となった。

 見慣れた光景になった。試合後、アウェーのスタンドで、札幌のサポーターが選手に罵声を浴びせた。今季4試合目となる恒例の“敵地説教タイム”は最長10分に及んだ。九州まで交通費と移動時間を割いて駆け付けた約80人のファンの期待に応えることは、またしてもできなかった。選手会長のMF砂川は「あまりに内容がない。遠いところまで応援に来てくれてもらっているのに。こんな試合を見たら、自分なら応援しないだろう」と悔しげに振り返った。

 前半12分、鳥栖MF金の鮮やかなポスト直撃弾で失点した。放ったシュートは前半の3本だけで、枠内は同3分の近藤の左足ミドル1本。攻めに出る際にミスを連発し、石崎監督は「悪い流れを変えようと砂川を入れたが、崩し切れなかった」と言った。今季初めて、後半開始から切り札を投入。同10分には前線にDFチアゴを入れ、ロングボールを送り込む作戦も用いた。しかし、パスの精度が悪く、マイボールにできなかった。前半13分の日高の右足シュート以降は77分間シュートなし。これで文句を言わないファンはいない。

 暑さというハンディは確かにあった。前日調整を行った20日の札幌の最高気温は19度。試合時間の気温が29・2度と10度以上の差があり、選手のスタミナを奪っていた。だが、チームでは完敗した8日熊本戦の反省もあり、選手各自にサウナに入り、汗を出やすくするよう指示していた。主将の河合は練習後、クラブハウスのサウナに入るなど入念に準備してきただけに「暑さを言い訳にしたくない」と険しい表情を見せた。

 J2最下位だった04年以来の敵地6試合連続無得点。昇格のためには、押し込まれる敵地でも最低勝ち点1を拾える戦いが求められる。石崎信弘監督(53)は今後について「アウェーの戦いを工夫しないと。メンバーを変えないといけないかもしれない」と話した。ホームで勝ち、敵地では負けないチーム構成を模索していく。【永野高輔】