<J1:柏3-0神戸>◇第13節◇28日◇柏

 首位の柏が2年目FW田中順也(23)の2得点の活躍で、3連勝中の神戸を圧倒した。前日27日に6月のキリン杯の代表メンバーが発表されたが、柏からは選出なし。チームを初めて視察した日本代表のザッケローニ監督(58)の前で、強烈なインパクトを残した。

 初めて目にする柏の試合は、ザッケローニ監督にどう映っただろうか。柏が持ち前の組織的な守備と、勢いのあるカウンターで神戸をねじ伏せた。前半21分には一瞬のタイミングで田中が相手守備の裏へ抜け出し先制点を奪う。同24分にはまたも田中が、ペナルティーエリア内で回転をかけた強烈なシュートをたたき込んだ。

 後半も守りは崩れない。最終的にシュート数は9対10と劣ったが、決定的なピンチは作らせなかった。田中は後半18分にもシュートを放ったが、ライン上でクリアされ、ハットトリックはならず。「良い形で入りそうだった。取りたかった」と残念がった。

 田中はネルシーニョ監督の秘蔵っ子といえる。順大時代の09年に特別指定でチームに参加。この年途中で就任した同監督が素質にほれ込み、大学での試合もあったがチーム同行を要請した。残留争いのなか、6試合で先発するなど9試合に出場。J2に降格したが、昨季は24試合で6点を決め優勝に貢献している。

 今季は開幕からスタメンで起用され続けている。オフの間に取り組んだことが実を結んだ。「コンディションが安定しないので、何かを変えようと思って」体重を6キロ落とした。毎日計測し、炭水化物を控え、果物も糖分になるからとほとんど摂取しない。体重を落とし筋肉をつけたら「意外に動ける」と気付いた。相手守備の裏へ抜け出す動きを見れば体のキレが増していることがすぐに分かる。

 対戦相手の神戸にも代表選手は0。それでもザッケローニ監督が視察に訪れたのは、首位の柏を無視できない存在ととらえたからか。田中は「質の高いプレーを続けていれば代表が見えてくると思う」と選出について口にした。FW北嶋の「(柏から)1人でも多く選ばれてほしい」という願いは今回はかなわなかった。次のチャンスを目指し、田中のゴール量産が始まった。【加納慎也】