おめでとう、J1昇格!

 今年もJ2の3チームが昇格を果たし、来季から日本のトップリーグに戦いの舞台を移す。昇格までの舞台裏には、地域や関係者との力強い「絆」があった。

 札幌はピッチ外の敵を報道陣とともにはねのけた。昇格争い最中の11月17日、前夜からの降雪で急きょグラウンドが使えなくなった。一晩で積雪約10センチ。地下に融雪用のヒーティングシステムを完備したグラウンドながら、あまりの積雪の早さに追いつかなかった。

 残された手段は、往復で4時間かかる雪の少ない室蘭での練習か、スタッフ全員での手作業による雪かき。石崎信弘監督(53)が下した結論は後者だった。監督、コーチ、強化部長、選手も交じって始まった除雪作業。さらに新聞記者、テレビ局のリポーター、カメラマンもスコップを握った。

 総勢50人で約1時間。ペナルティーエリア付近しか取り除けなかったものの、セットプレーの確認ができた。「みなさまのおかげで練習ができました。本当にありがとうございます」と主将のMF河合。最終戦前の11月29日には2度目の除雪作戦が実施された。その4日後の東京戦に勝ち昇格決定。メディアの“腕力”もJ1復帰を後押しした。【永野高輔】