G大阪の呂比須ワグナー・ヘッドコーチ(HC=43)が激勝指令を出した。今季初陣となるアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)で、今日6日に浦項(韓国)と対戦する。5日は会場となる本拠地万博で非公開調整。韓国勢の激しさを熟知する同HCは「ハングリー精神を出せ!」と魂の指令。08年以来のアジア王者奪回へ、新生G大阪が開幕白星をつかむ。

 準備は整った。激しい雨の中で行われた非公開調整を終えた呂比須HCは、充実した表情を浮かべながらスタジアムから出てきた。自身は初めて臨むACLの舞台。心構えはできている。

 「ボールを持っていない時は、全員でボールを奪いにいく。ハングリー精神を出さないとダメ。最初は怖いかも知れないけど、ぶつかる時は思い切って相手にぶつかっていかないといけない。『ここは俺達のホームだ』と分からせる」

 削られる前に削れ!

 韓国の激しさを、嫌というほど知っているからこその魂の指令だ。この日の練習後には、同世代でJリーグでも対戦した浦項の黄善洪(ファン・ソンホン)監督と談笑しつつも、胸には熱い闘志がある。日本国籍を取得してすぐ、初のW杯出場へ崖っぷちに立たされていた97年11月1日の日韓戦で3戦連発。日産時代の89-90年には、ACLの前身アジアクラブ選手権で準優勝した経緯もある。アジアの戦いは熟知している。

 昨季までのG大阪に欠けていたのは激しさだ。10年度は一発勝負の決勝トーナメント初戦で同じ韓国の城南一和に0-3で完敗。昨年度も済州に1勝1敗と勝ちきれなかった。08年以来のACL制覇には韓国の壁を崩すことが不可欠。セホーン監督は「いい準備ができた。明日はそれを証明するだけだ」ときっぱり。4得点を挙げればACL40戦目で、史上3クラブ目の通算100得点を記録する。西野体制から引き継いだ超攻撃力に激しさも加え、アジアの頂上を目指す旅が始まる。【益子浩一】