あのビューティフルゴールを、もう1度-。仙台FW柳沢敦(34)が、17日のアウェー横浜戦(日産スタジアム)での今季初得点に意欲をのぞかせた。狙うのは昨年9月、同じ敵地での横浜戦で決めたヘディングシュートの“再現”。13日の練習でも軽快な動きを見せ、「今年は早い段階で」と明言した。故障に苦しんで1ゴールに終わった昨季の雪辱を胸に、今季は早々にネットを揺らしてチームとともに自らも波に乗るつもりだ。

 状態はいい。だからこそ、今の柳沢は結果を欲している。「今年は早い段階でああいう風にゴールを決めて、勢いに乗っていきたいなと思う」とストライカーらしく、ゴールへの色気をはっきりと口にした。17日のアウェー横浜戦。いいイメージがあるだけに、期待が膨らむ。

 「去年はあれしか決めてないからね。印象としては残ってますよ」。本人が自嘲気味に振り返る「あれ」とは、昨年9月24日、日産スタジアムで見せた芸術的ヘッドだ。試合は5戦ぶりのスタメンだったが、立ち上がりに自身のミスから失点。それでも、同点に追いついた後の前半12分だった。ゴール前で横浜DF中沢に体を当てて相手の体勢を崩し、梁の左クロスを頭で後ろに流して決めた。試合後「(流して決めたのは)自分でも記憶にない。感触が良すぎて体に残っていない」と興奮気味に振り返る、美しい決勝弾だった。

 移籍後初ゴールでもあった。昨季は4月に左膝を手術。なかなか調子も上がらず、チーム27試合目、個人出場13試合目でのシーズン初ゴールは柳沢自身、最も遅い記録となってしまった。この日「今年は早い段階で」と強調したのはJ1通算102発男のプライドであり、現状への手応えの裏返しでもある。

 開幕戦の前日練習で左膝を打撲して周囲をヒヤリとさせたが、翌日は後半36分から元気に出場。前線で体を張って白星発進に貢献した。試合後は、鹿島ジョルジーニョ監督らかつてのチームメートと談笑。「出口で待っていたら、向こうから話に来てくれた」とうれしそうだった。チームも自分も順調とあってか、漂う余裕。ただ、最後につけ加えた。「続けていくことが一番難しいからね」。柔和な笑みを少し引き締め、継続を誓った。【亀山泰宏】