G大阪の松波正信新監督(37)が、爆発的な攻撃力でどん底からの逆転優勝を目指す。27日、大阪・万博練習場で「松波ガンバ」が本格始動した。クラブが前日26日にセホーン前監督らを解任し、電撃的に新監督に就任。G大阪ひと筋の指揮官は「体に(ガンバカラーの)青い血が流れている」ときっぱり。現在、公式戦5戦全敗でリーグ戦は16位に低迷。それでも優勝を目標に掲げ、31日新潟戦で初采配を振るう。

 春の日差しが、松波新監督を包み込んだ。ミニゲームをする選手を、鋭い視線で見つめる。日が沈みかけた頃には、居残りシュート練習をこなす遠藤に声をかけた。G大阪カラーの青いスパイクで初練習に臨んだのは、意気込みの表れだろう。平日にもかかわらず集まった数百人のファンも、緑に輝く芝生までも、新監督を歓迎しているようだ。

 「体には青い血が流れている。いい時も悪い時も経験している。喜びと、使命と、プレッシャー。いろんな思いがある。でも不安はないです。進むだけだと思っている。チャンスは最大限生かす主義。チャレンジ精神でやっていく」

 G大阪ひと筋で生きてきた。93年のJリーグ元年に入団し、リーグ初制覇した05年に引退した。低迷した時も、頂点に立った時も、G大阪とともに歩んできた。愛するチームは現在、リーグ3連敗、ACLも2連敗。25日磐田戦の敗戦でセホーン体制に見切りをつけたクラブ側から、日付が変わった26日未明に呼び出され、就任要請を受けたという。新指揮官は「家族からこんな時間に出ていくの?

 と言われました。迷う時間もない。強制的に(監督に)なりました」と冗談交じりに明かした。

 西野体制の10年で築いた攻撃的サッカーを継承する方針だ。まだ37歳。それでも西野元監督の模倣ではなく、松波流の個性も出す。

 「5点取ったら3点取られてもいい-というのではない。5点取っても0失点で抑える」

 良き兄貴分であり、厳しい監督でありたいという。

 「気持ち良くプレーできるよう選手の意見は聞く。半面、責任が取れないのであれば厳しく接する」

 初陣は31日新潟戦。どん底から頂点へ。37歳の青年監督に、G大阪の命運が託された。【益子浩一】