<J2:山形1-0草津>◇第13節◇6日◇NDスタ

 ついに湘南を抜いた!

 山形は草津を撃破。5連勝を含む8戦負けなしで、J1に昇格した07年以来の首位に浮上した。後半開始と同時に投入されたMF船山祐二(27)が、わずか3分後に大仕事をやってのけた。

 ピッチ中央でパスを受けると、ゴールに向かって体を切り返す。瞬時にマークが緩いと判断。利き足ではない右足を振り抜いた。地をはうミドルシュートは相手DFに当たると、今度は緩やかな弧を描いてネットに吸い込まれた。「プロに入ってから右足で決めたことはないと思う」。本人も驚きの1発は、昨季の加入から出場31戦目での移籍後初得点となった。

 「船山兄弟」が首位をたぐり寄せた。この日は、松本に所属する弟貴之もゴールを挙げた。相手は湘南。同じく途中出場での先制弾で、強敵と引き分けた。約2時間後。勝てばトップに立てる状況の中、アニキがドラマを仕上げた。「去年はふがいなさを感じていたし、この1点は大きい」と手応えをつかんでいた。

 2人とも楽しみにしていた3月11日の“直接対決”では兄が先発、弟はベンチスタートだった。後半、途中交代を命じられた直後に貴之が登場。ピッチの外で悔しさをあらわにしていた。あれから2カ月。弟の誕生日に仲良し兄弟が、同時にヒーローになった。【湯浅知彦】