5月初勝利へ、決意の“名古屋出張”だ。仙台手倉森誠監督(44)が15日、愛知・瑞穂陸上競技場で行われたアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の名古屋-セントラルコースト(オーストラリア)戦を直接視察した。19日のホーム名古屋戦に向け、今季初めて対戦相手の試合を現地でチェック。映像だけでは分からない生の情報も集め、4試合ぶりの白星へ準備に抜かりはない。

 仙台市内で午前10時からの全体練習を終えた手倉森監督が、いつになく足早にクラブハウスを出た。「名古屋に行ってきます」。目的は、週末にユアスタでぶつかる名古屋の試合を見ること。中村コーチを伴い、新幹線で4時間近くかけて敵地へ向かった。

 映像による相手のスカウティングは毎試合行っているものの、指揮官の直接視察となると今季初。クラブ関係者も「珍しい」と話す、異例の行動だ。トップらしからぬ?

 プロ野球の先乗りスコアラーばりに軽いフットワーク。「ビッグマッチだから」と笑った手倉森監督だが、勝利への強い意思表示に他ならない。5月は3戦2分け1敗、11節で勝ち点24。優勝ラインとして目指す「17節で勝ち点35」は、残るホーム3戦全勝を前提にしている。

 昨季柏と勝ち点1差で連覇を逃した名古屋相手に、仙台は1勝1分けと勝ち越した。「1回でもウチに勝っていれば優勝できたわけだから。ピクシー(ストイコビッチ監督)は絶対、根に持ってるんだよ。(開幕前の)監督会議でも言われたからね」と、何やら因縁もある様子。この日はFWケネディが欠場して仙台戦へ照準を合わせるなど、激しい試合になるのは間違いない。

 戦術分析はもちろん、自らの目利きで個々のコンディションを見極め、生きたデータを収集。日本での試合とはいえ、仙台が来季出場を目指すACLの雰囲気を味わえるメリットもあったはず。“名古屋土産”をたっぷり抱え、今日16日からの練習で5月初勝利への仕上げを施していく。【亀山泰宏】